全国に、童具店の名称で店舗展開する、革製品製造業。株式会社土屋鞄製造所(所在地 東京都足立区、代表取締役社長:土屋成範)は7月10日、豪雨災害でランドセルを紛失、破損した購入者に対し、無償での修理、交換をホームページ上のプレスリリースに公表した。同社は東日本大震災の際にも、被災者向けにランドセル2000個を寄付している。ランドセルには、ノートや鉛筆も入っており、すぐに使える工夫もされていた。

 

ランドセルを選ぶ基準には、素材やデザインに加え「6年間保証」が重要な要素になっている。今回の、土屋鞄製造所の対応は、「6年間保証」の本来の姿だ。

 

令和2年7月豪雨による被害

令和2年7月豪雨では、九州を中心に河川のはんらん、土砂災害、浸水等が発生し、7月31日時点で78名の人命が失われた。それに伴い、様々な支援が行われている。そのような状況の中で、“ランドセル”に対して、積極的な支援を行っているのが、土屋鞄製造所である。土屋鞄製造は自社で工房を所有し、生産から販売まで一貫して製品を提供するランドセルメーカーとして、関東では高いシェアを占めている。

 

災害の発生時においては、人的被害ももちろんであるが、心理的被害も発生する。特に、小学生にとって“武士の刀”のような存在である「ランドセル」が、紛失損傷することは、かなりの心理的な被害を受けることが予想される。

 

通常、ランドセルには、「6年間保証」というものがついているので、安心して使えそうだがその「保証」の内容はメーカー各社で異なる。

 

ランドセルの6年間保証とは

ランドセル、豪雨災害からの復興。土屋鞄製造所がランドセルの無償修理、交換を公表
現在、販売されているランドセルのほとんど全てに「6年間保証」がついている。しかし、6年間保証の内容は各社で異なる。保証の内容に不注意、故意による破損を含めるかどうかだ。例えば、「天使のはね」ブランドを展開する株式会社 セイバン(所在地 兵庫県たつの市、代表取締役社長:泉貴章)では、不注意、故意による破損は保証の対象に含めていない。また、不注意、故意の判断は、メーカー側が判断する。一方で、クラリーノを展開する株式会社池田屋(所在地 静岡県静岡市、代表取締役社長:長岡和久)や土屋鞄製造所では、不注意、故意による破損も保証に含めている。

 

保証の違いは、ランドセルに対する考え方によるものであろう。「6年間使用するランドセルに対し、どのような保証をすれば安心して使用することができるか」のメーカーごとの考え方の違いだ。ランドセルは、子供が使うものでありかなり乱雑に扱われることも考えなければならず。不注意、故意と判断される破損は十分に起こりうると考えられる。

 

しかし、筆者の調査した範囲で、天災や盗難に対する保証をしているメーカーが見当たらなかった。土屋鞄製造所では、この天災に対する保証を打ち出した。なるほど、天災でランドセルを失った子どもたちのショックは計り知れないであろう。こういった非常時には、メーカーの製品にたいする態度が見受けられる。

 

株式会社土屋鞄製造所とは

土屋鞄製造所は足立区西新井に本店を構え、全国に15店舗を展開するランドセルメーカーである。販売店とは別に、足立区西新井と、長野県に2カ所の工房をかまえている。デザインからアフターまでが一気通貫していることが特徴である。土屋鞄製造所は関東ではすでに有名ランドセルメーカーであるが、関西やそのほかの地域では、まだ知名度は低い(遠方であってもWebでの購入が可能である)。ランドセルについては、全国展開するチェーン店とは別にご当地のメーカーが存在することも要因となっているだろう。

非常にこそ保証の意味が試される

保証の意味を辞書で調べると「まちがいなく大丈夫であるとうけあうこと。まちがいが生じたら責任をとると,約束すること。(三省堂 大辞林より) 」となっている。「まちがいが起きたときに対応しますよ」といった意味合いであるが、この「まちがい」をどうとるかはメーカーによって異なる。メーカーごとのランドセルに対する考え方の違いである。
ランドセルについて「もの」というとらえ方をすれば、まちがいとは「もの」の間違い、つまり不良品ということになる。そうであれば、不注意、故意の破損は保証に入れる必要はない。

 

反対に、まちがいをランドセルという相棒(武士にとっての刀)と考えた場合はどうであろうか?不注意、故意であったとしても、それを保証の対象にしないことは、大切な相棒の死を見捨てるとういうことになる。相棒の死を見捨てることは当然“まちがい”であり、保証しなければならない。今回の豪雨による災害で、ランドセルを紛失、破損した場合を考えると、それは大切な相棒の死、怪我にあたる。これを“まちがい”として認めることは、まさにメーカーとして真摯な立場である。つまり、土屋鞄製造所は真摯な企業である。

 

土屋鞄製造所のランドセルの品質に関しては、同社のホームページに詳しく記載されているので参照して頂きたい。

アフターまで充実したラインナップ

土屋鞄製造所では、製品の購入後のフォローに関しても充実している。
例えば、ランドセルメンテナンス用のクリームや、思い出のランドセルを、ミニチュアランドセルや定期入れにリメイクするサービスも行っている(8月31日より受付)。
商品ラインナップも人工皮革を使用したクラリーノ(64,000円、税込み)から、馬の臀部の革を使用したコードバン(140,000円)まで豊富に取り揃えている。
詳しくは土屋鞄製造所「ランドセルを選ぶ」をご参照いただきたい。
※商品によって作成の時期がことあることから、到着時期に違いがある。8月31日までであれば、すべてのラインナップで注文可能。

ランドセルを通じた心の教育

最後に、今回の記事を通じて、感じたことをお伝えしたい。ランドセルは、6年間という長期にわたり、相棒として学校生活を共にする。その中で、様々な物語が紡がれる。
そこで、今回の豪雨災害での土屋鞄製造所のような対応を知ればどう思うか想像していただきたい。
「あなたのランドセルは、もし被災にあっても寄り添ってくれる人たちが作ってくれたものなんだよ」
そのように言われれば、相棒となるランドセルの誇り高さと、自らも他人が困ったときに助けようとする意志が生まれないだろうか?
たかだかランドセルであるが、されどランドセルであると、筆者は思うのである。

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